vol.21 華為技術日本株式会社:江島由賀さん(2012年10月)

華為技術日本株式会社 (ファーウェイ・ジャパン) 広報部江島由賀さん Yuka Ejima 40歳
大学卒業後、銀行、米国企業でのマーケティング職を経験。その後、株式会社サイバード、株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングスを経て、2012年6月に世界第2位の通信機器メーカー・華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン)に入社。現在、サンバ音楽を共通の趣味とする夫と2歳の息子と過ごす時間が何よりのストレス解消。

広報歴:12年

華為技術日本株式会社(ファーウェイ・ジャパン):http://www.huawei.com/jp/


常に新しい場所へ。チャレンジをし続ける女性


伊藤:こんにちは。今日はよろしくお願いします。久しぶりにお会いできて嬉しいです。
江島さん:こちらこそ、ありがとうございます。よろしくお願いします。

伊藤:お会いするのは8年振りくらいですね。私が株式会社ケイ・ラボラトリー(現:KLab株式会社)で広報として働いていたときに、当時、親会社だった株式会社サイバードの広報に江島さんがいらっしゃって。本当にお世話になりました。
江島さん:8年振りですか。そうですね。あの頃以来ですね。

伊藤:こうやってお話をお聞きできるのも何かのご縁ですね。さっそくこれまでのお仕事についてお聞かせください。広報のお仕事に関わられたのは、いつ頃からですか?
江島さん:本格的に関わったのは2000年です。それまでは、地元の銀行に勤務したり、マーケティング関係の仕事をしていました。

伊藤:そうなんでね。では、新卒でお仕事を始められた頃のことから聞かせてください。
江島さん:はい。私は福岡出身で地元の大学を卒業して地元の銀行に就職したんです。

伊藤:そうなんですか! 東京の外資系企業でお仕事をされている今までに、歴史がありそうですね。
江島さん:そうですね。いくつかの会社を経験しました。銀行では英語ができるということで、国際部のなかの貿易投資相談所に配属されました。

伊藤:貿易投資? 具体的には、どんなことをされていたんですか?
江島さん:取引先企業の貿易ビジネスや海外投資を支援する部門です。支援することで関連する金融サービスを提供し、手数料収入を向上させる狙いがあるんです。また、アジアビジネスに強い銀行でしたのでのブランディングの側面もあったようです。それで、貿易投資の無料相談を行ってお客様へニュースレターを発行する。例えば、中国に魅力的な工業団地があれば、その情報をニュースレターにしてお届けするという。今思うとPRにも近い仕事です。ほかには、年に一度お客様の動向を調査してレポートにまとめ、さらにニュースリリースとしても発表していました。リリース作業は行っていませんでしたが、調査・分析の部分、マーケティングの仕事をしていました。

伊藤:専門的なお仕事ですね。
江島さん:その銀行でも前例がなく、新しく企画する部分が多い仕事だったのでとても楽しかったのですが、マーケティングを経験したことでもっと専門的にやりたいと思うようになりました。

伊藤:それで、転職されたんですか?
江島さん:そうです。4年間、銀行に勤めて退職しました。その後、上京して日本での事業展開を強化するというアメリカの企業に入社しました。

伊藤:ずっと福岡でご両親と一緒にいらっしゃって、反対されませんでしたか?
江島さん:実は大学時代に、個人旅行でタイやネパールに1ヶ月程行っていたんです。

伊藤:バックパッカー的な?
江島さん:そうですね。行ったのが銀行に入行する直前で、日に焼けて真っ黒になって帰ってきたので、綺麗なピンク色の銀行の制服が似合わなかった、という(笑)。そういうこともあったので両親は特に反対はしませんでした。

伊藤:今の江島さんの雰囲気から想像できないです。
江島さん:そうですか? 好きだったんですよ。

伊藤:好きなことをする、いいですね。そして、東京で専門的にマーケティングの仕事を始めることに。
江島さん:東京で入社した会社では、拠点のある米カリフォルニア州で研修も受けました。ただ、日本の市場が予想より広がらずに入社1年足らずで事業を縮小することになり転職しました。

伊藤:その転職先がサイバードだったんですね。
江島さん:そうです。サイバードには、マーケティングとして入社したのですが、ちょうど会社がIPO(新規株式公開)の直前であったこと、日本独自のサービスであるiモードが盛り上がっていて、海外のビジネス誌から注目されていたこと、社長がワシントン生まれで英語が堪能だったことから、海外媒体からの取材がとても多かったんです。そこで、広報に英語ができる人間を、ということで、マーケティング部から広報に異動しました。

伊藤:そうだったんですね。そこから本格的に広報を。
江島さん:はい。企業広報だけでなく、コンテンツやサービスのPR、社内報を作成するといった経験もしました。

伊藤:確かに幅広くお仕事されているな、と思っていました。当時、ITベンチャーはとても勢いがありましたね。1年があっという間だった気がします。私は、2004年に会社を退職したのですが、江島さんは、その後どうされたんですか?
江島さん:2005年にゲーム会社に転職しました。

伊藤:ゲーム会社に? それはどんな理由で。
江島さん:サイバードは、自社でコンテンツを持たず、他社のコンテンツとタイアップをして携帯電話向けサービスにしていく会社でした。そこでの仕事を通じて、今度は自社でコンテンツやキャラクターを持っている会社で広報に携わりたいと思ったんです。それで、株式会社スクウェア・エニックスに転職しました。

伊藤:角度を変えるということですね。
江島さん:そうですね。コンテンツやキャラクターといった知的財産(IP)を持っている会社で、核となるIPをどういう形で展開していくのか? という視点で経営のしくみを理解し広報のあり方を考えたいと思ったんです。

伊藤:キャラクターを持っている会社はたくさんあると思いますが、スクウェア・エニックスを選んだ理由は何ですか?
江島さん:経営陣のビジョンが明確だったことです。スマートフォンも今ほど普及していない時期に、さまざまなメディアでコンテンツを提供することを前提に、コンテンツやビジネスモデルを企画するという考えに勝手ながら共感して。また、お客様との繋がり、エンゲージメントを大切にするということを昔から重視している会社でした。

伊藤:顧客とのエンゲージメント、SNSが出てきてからはよく言われることですが、昔からというのは素晴らしいことですね。スクウェア・エニックスでは、どんな広報をされていたんですか?
江島さん:企業広報においては社長が、コンテンツ、サービスのPRにおいては各商品のプロデューサーなどがスポークスパーソンとして前面に出るに広報スタイルでした。ネットサービスやスマートフォンが普及し、ビジネスモデルが変わる時期だったので、コミュニケーションが難しい案件もありました。そのときに関係部門と協力して、丁寧にステークホルダーとコミュニケートしていくことの大切さ、それを学びました。

伊藤:広報のもっとも大切な部分、盛り上げるだけでない広報ですね。難しい案件が起きたときに、慌てないこと、冷静に判断することの大切さを経験されているんですね。
江島さん:ファンの方があってのコンテンツ、キャラクターなので、まず、ファン、お客様のことを考える。当たり前のことを肌身をもって経験しました。

伊藤:そういう経験をしてきたなかで、今年になって再度、転職された理由は何ですか?
江島さん:今年の1月に40歳になったのですが、40歳になる数ヶ月前に、このままこの会社にいるか、もう一度挑戦をするかを考えました。私の母が、40歳で飲食店を始めたことも影響しているのですが、母は40歳で始めたその仕事が生涯続ける仕事になっている、そして、50歳を過ぎて2店舗目を開店させる姿も見てきました。その母から、女性にとって40歳は大切な節目と言われていたんです。スクウェア・エニックスでは同じチームのスタッフも育っていたので、だったらもう一度挑戦してみよう、と。2005年に結婚し2009年に出産して、子供も産まれたばかりの頃より手が掛からなくなっていたのも理由の一つです。

伊藤:仕事をして、結婚をして、子供を持って。安定したい方も多いと思うのですが、そこが、学生時代にバックパッカーとして海外を旅していた江島さんらしい選択なのかも、ですね。では、今の会社のことを教えてください。
江島さん:ファーウェイ・ジャパンは、中国の広東省深センに本社を置く、世界第2位の通信機器メーカーです。私も、人材紹介会社から教えていただいて初めて知ったのですが、全世界140ヶ国、15万人が働いています。

伊藤:15万人ですか!
江島さん:そうなんです。これまで、携帯電話の基地局などで使われる通信機器の提供がメインでBtoBということもあり、会社名はあまり知られていないのですが、昨年から方向転換をしてハイエンドのスマートフォンを自社ブランドで展開し始めました。半導体開発子会社を持つなど、その技術力にも関心を持ちました。そこで、会社名を多くの方に知ってもらうためのこの時期に広報として関わりたいと思ったんです。

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伊藤:正直、私も会社名をお聞きしても分からなかったのですが、見えないところでお世話になっているんですね。
江島さん:そうですね。分かりやすい製品でいうと、イーモバイルのPocket WiFiやNTTドコモのキッズケータイなども弊社の製品です。

伊藤:ただ、それが御社の製品だと気づいていないとか。
江島さん:そうなんです。ですので、今やるべきことがある会社だと思っています。

伊藤:転職されて、どんなことを感じていらっしゃいますか?
江島さん:グローバル企業で働く意味を、実地で経験させていただいています。国籍が違う社員も一緒に働いていて、仕事の進め方や考え方が違うなかで、どうやってコミュニケートしていくか、を日々考えています。英語が公用語ではあるのですが、中国語も学んでいこうと思っています。

伊藤:常に新しい場所へ、という姿勢を感じます。では、江島さんにとっての広報とは何ですか?
江島さん:信頼を繋ぐことですね。企業がビジネスをしていくためには、従業員も含め多くの人とのコミュニケーションが必要になります。そこには、直接、お会いすることが難しい方もいます。そうした時に信頼感が醸成されていなければ、きちんとお話を聞いていただけません。そういう意味で、メディアの方だけでなく会社に関わっているすべての方との信頼関係を大切にするのが広報だと感じています。

伊藤:信頼関係、確かにそれがないと何も作り上げていけないですね。最後にプライベートについて聞かせてください。今、お子さんはおいくつですか? また、産休はどれくらい取られたんですか?
江島さん:間もなく3歳になる男の子です。2009年の9月末まで働いて10月末に出産。3月まで産休をとって4月に復職しました。

伊藤:ということは、産休は半年だけですか? 保育園とか大変だったのではないですか?
江島さん:産まれる前から夫婦でリサーチして、生後5ヶ月で入園しました。残念ながら待機児童の多い今は0歳児で入園しないと、その後の入園は難しいんです。

伊藤:そうなんですか! 経験しないと分からないことですね。5ヶ月から預けるのは淋しかったのでは?
江島さん:それもありますが、子供にとっては物心がつかない頃から保育園に行っていたので、保育園に行くのが自然なことになって、逆に良かったと思っています。

伊藤:そういう考え方もあるんですね。毎日お迎えもされている?
江島さん:週に2~3日は、夫が迎えにいってくれているので、その日は友人と会ったり、自分のための勉強をしたりしています。弊社の広報、4名のうち3名が、3歳児以下の子供を持って仕事をしているので仕事はしやすいですね。

伊藤:良い環境ですね。趣味についても教えてください。
江島さん:2000年からサンバチームで楽器を演奏しています。最近は不真面目ですが(笑)。上京したばかりの頃、東京にほとんど知り合いがいなくて、好きなブラジル音楽をネットで検索しているうちにサンバチームを知ったんです。そこで、見学に行ったらやりたくなってしまって。もう10年以上ですね。

伊藤:どんなパートをされているんですか?
江島さん:カイシャという小太鼓のような楽器を担当しています。

伊藤:毎年、浅草で開催される浅草サンバカーニバルにも出ていらっしゃるんですか?
江島さん:はい。実は妊娠中も出ていました。

伊藤:浅草サンバカーニバルは8月末ですよね。出産が10月末ということは、かなり大きかったのでは?
江島さん:そんなにお腹は大きくならなかったんですが、子供にとってはブラジル音楽が胎教でしたね。

伊藤:それも素敵ですね。サンバは夏のイメージが強いですが。
江島さん:7~10月がサンバの季節で、大きなイベント以外にも商店街の地域振興イベントなどでサンバチームを呼んでいただいたりするので、頻繁に活動をしています。

伊藤:では、今年はもう終了?
江島さん:10月20日の板橋区民まつりで今年のサンバシーズンは終わりました。

伊藤:素敵な趣味ですね。今日お話をお聞きして、仕事、家庭、趣味を充実させている、女性として羨ましい部分があるな、と思いました。ただ、それは受け身ではなくて、自分から取りにいっている。だからこそ、輝いていらっしゃるんだと。今日はありがとうございました。


広報ウーマン24時
6:00 起床、子供の世話、身支度、朝食
7:00 夫と子供が出発、見送り
7:20 出発。電車内では前日のニュースのチェックなど
8:50 出社。メールチェック、企画書や取材前の資料準備など
11:00 社内ミーティング。他部門との情報共有、広報展開に関する調整など
12:00 ランチ。ランチをしながら広報部内で他業界の事例を参考にケーススタディを行うことも
13:30 メディアからの問い合わせに関する情報収集、本社とのやり取り(プロジェクトの進捗確認)、プレスリリースの翻訳校正など
16:00 メディア訪問
18:00 退社。子供の送迎をお願いしているファミリー・サポート・サービス担当の方から子供を引き取り、夕食、お風呂、寝かしつけなど。子供との会話で癒される。夫が送迎を担当する日は、社内、メディア、友人との食事なども
22:30 翌日の夕食準備
23:30 自分の時間。夫と今日あったことを話したりオンライン英会話をしたりなど


編集後記
私が、企業で広報の仕事をしていたときにお会いしたのが江島さんです。今回、ご紹介で取材をさせていただくことになり、偶然の再会に驚きました。そして、正直、ゆっくりお話を聞くのは初めてで、こんなにもアクティブな方だったとは、驚きでした! インタビュー内にも書きましたが、受け身でなく、常に自分から取りにいく姿勢が、今の環境を作っている。働く女性として、見習うべきところがたくさんあると感じました。そして、ひとつの場所で安定するのではなく、自分を高めていこうとする動きがとても自然で気持ちよく感じました。会社に所属しながらも自分の在り方をしっかり持っている。そんな印象です。久しぶりにお会いしてお話を聞くことができとても嬉しかったです。(伊藤緑)