vol.18 ラ・プレリージャパン株式会社:矢吹洋枝さん(2012年7月)

ラ・プレリージャパン株式会社 コミュニケーションマネージャー 矢吹洋枝さん Hiroe Yabuki 45歳
神奈川県出身。11年間、テレビ制作会社でドキュメンタリーや情報番組などの制作に携ったのち、PR会社に転職。ホテル、レストラン、ファッション関連のPRを経験。2000年より、スイスのスキンケアブランド ラ・プレリーのPRを担当。
趣味はボクシングとドラム演奏、スリランカ旅行。
広報歴:14年

ラ・プレリージャパン株式会社:http://www.laprairie.com


番組作りからPRへ。良いものを伝え続ける女性


伊藤:こんにちは。今日はお時間をいただきありがとうございます。
矢吹さん:こんにちは。よろしくお願いします。

伊藤:華やかなイメージのある外資系化粧品のPRですが、今日はリアルなお話を聞かせてください。
矢吹さん:やはり華やかなイメージがありますか? ラ・プレリーはほぼ私一人で行っているので、華やかなことだけでなくいろんなことをしていますよ。何でも聞いてくださいね。

伊藤:初めてお会いしてからもう4年くらいでしょうか? 同じ年齢だから親近感があって。そして、矢吹さんの若々しさと美しさにいつも刺激を受けています。
矢吹さん:同じ歳なのは確かに親近感ですよね。

伊藤:さっそくですが、ラ・プレリーの広報はいつからされていらっしゃるんですか?
矢吹さん:12年前です。

伊藤:ということは、33歳のときですね。
矢吹さん:計算が早い!

伊藤:同じ歳ですからね。では、それまでは何をされていたんでしょうか?
矢吹さん:テレビの制作会社で働いていました。

伊藤:えっ、制作会社? アシスタントディレクターとかですか?
矢吹さん:そうですね。情報番組やドキュメンタリーを作っていました。辞めるときはアシスタントプロデューサーをやっていました。

伊藤:ということは、プロデューサーになるのも、間もなくというところですよね。なぜ、番組制作者から広報の仕事へ?
矢吹さん:テレビ番組を作るのは楽しかったのですが体力的な問題ですね。28歳くらいから、ちょっと厳しいなと思い始めました。制作が始まると半月くらい帰れないこともありましたし。ロケにいって、スタジオ収録をして、編集をする。それだけで一週間くらい会社に居ることになります。そして、終わる頃には次の番組が始まるという感じで、かなり厳しかったですね。20代の記憶は「常に眠かった」ということだったりします(笑)。

伊藤:今の矢吹さんからは、想像できないですね。
矢吹さん:そうですか? 肉体労働者ですよ。

伊藤:体力的なことで転職を?
矢吹さん:はい。しかし、転職といってもずっとテレビの世界にいたので、ほかの仕事を知らなくて。唯一交流があったのが、広報やPRの方だったんです。その仕事を見てやってみたいと思いました。

伊藤:それが31歳のとき?
矢吹さん:そうですね。夜、家に帰ることができる仕事をしたかったんですね。それで、PR会社に転職しました。ホテル、靴、化粧品など、さまざまな業種の広報を経験させていただきました。リリースの書き方もキャラバンも展示会や発表会もPR会社で覚えました。そのなかで、化粧品のPRを極めてみたいと、再度転職を考えたのです。

伊藤:それで、ラ・プレリーへ。求人が出ていたんですか? 倍率高そうな気がします。
矢吹さん:求人が出ていたので応募しました。私が採用されたのは即戦力が欲しかったからだと思います。化粧品のPRの経験がありましたから。素晴らしい経歴の方もいらっしゃったようですが採用していただいて。その頃、ラ・プレリーは、シュウウエムラのいち事業部でした。ですので、転職先はシュウウエムラ、ラ・プレリー事業部のPR担当者でした。

伊藤:そうなんですね。いつ「ラ・プレリージャパン」が立ち上がったんですか?
矢吹さん:10年前です。その時、主なメンバーはそのままスライドしました。

伊藤:インハウスの広報になったときは、どのような感じでしたか?
矢吹さん:前任者がいたのでベースはありました。ただ、前任の方はPR会社を使っていたのですが、私は自分でやりたい、と思ったのでPR会社を使わずに一人でスタートしました。大手ではないので、自分ができることをやっていくということです。

伊藤:例えば?
矢吹さん:普通ですよ。リリースを書いてキャラバンをして、イベントの企画実施や発表会をする。商品の貸し出しもしますしクリッピングもしますね。今は週3回、派遣の方に来ていただいていますが、当初は一人で仕事と作業していました。

伊藤:なんだかもっと華やかなイメージがあるんですが……。きっとそう思っていらっしゃる方も多いのではないかと?
矢吹さん:そうかもしれませんね。夢を壊してごめんなさい。私の席の周りには、常に、段ボールと雑誌がありますよ。撮影用商品の貸し出しは基本業務なので、梱包して発送する。掲載された雑誌のクリッピングをする。化粧品や雑誌は重いので、本当に力仕事です。派遣で来ていただいている方にも「手が荒れるので」と伝えたりしています。

伊藤:手が荒れてもそこは自社商品で復活ですね。そして、ラ・プレリーの顔として、取材を受けたりや人前に立つことも多いのではないですか?
矢吹さん:日本橋のロイヤルパークホテルと大阪のリッツ・カールトンホテルに弊社のエステサロンがあるので、女優さんや美容ライターさんをお呼びしてのイベントや取材はありますね。また、ホテルのスイートルームにお客様をご招待して、スキンケアセミナーなども開催します。ラ・プレリーは、他社ブランドよりも新商品の発売が少ないので一人でできているのかもしれませんね。

伊藤:といっても、新商品発表会に関しては一大イベントという気がするのですが、その時だけPR会社に依頼をされたりは?
矢吹さん:PR会社ではなく、イベント会社と一緒に行います。あとは会社全体のチームワークです。発表会では、私が司会進行をやり、来日したドクターやマーケティング部長がプレゼンをしたりします。

伊藤:最近の発表会はいつですか?
矢吹さん:5月に行った「アドバンスマリンバイオロジー コレクション」の発表会です。これは、表参道のフラワーショップ「ニコライバーグマン」を貸し切って開催したのですが、後日、本国からアジアツアー(香港、台湾、韓国、日本)の中で一番良かったという評価をいただきました。理由は、他国がお金をかけて派手に行ったのに対して、日本では記者さんとの懇親を重視し、アットホームな雰囲気で行ったのが評価されたようです。会場では、海と大地の自然の融合をテーマしたディスプレイで商品のもつ世界観を表現しました。

伊藤:イベントは規模やお金をかけるということでなく、見せ方や内容が大切ということですね。その商品はいつ発売のどんなものですか?
矢吹さん:9月7日発売の海洋植物と海浜植物を使った商品す。このコレクションを通じて海洋保護の重要性を強調しています。海洋由来成分は乱獲しすぎると海の生態系を壊してしまうので、ラ・プレリーでは、海と同じ環境を再現した陸上栽培による成分を使用しています。そして、今年はラ・プレリーアワードというプロジェクトを立ち上げて、海洋保全活動をしている団体を支援していきます。アワードへは世界中の方々にフェイスブックで投票していただくシステムになっています。

伊藤:発売が楽しみですね。そのほかに、印象に残っていることはありますか?
矢吹さん:2009年に発売した「クリームP.Tレア」です。この商品は、希少なプラチナを配合したラグジュアリーなクリームです。プラチナが触媒となって他の美容成分の働きをサポートし、肌環境を最適に整えます。「ハリと潤いが充実するような肌実感に感動した」という声をたくさんのお客様からいただくほど、リピーターが多い商品です。今では、10万円を超える化粧品も多く出ていますが、当時15万7,500円という価格もインパクトがあったようです。

伊藤:広告を打ったりもされるんですか?
矢吹さん:いえ、弊社はほとんど広告を出すことはなく、商品の力で記事にしていただいています。この「クリームP.Tレア」は、さまざまな媒体に1ページの記事で掲載していただきました。

伊藤:すごいですね。いち商品で1ページ。さて、先ほどアジアツアーの話がでたのですが、やはり外資の化粧品会社ということで、本国や他国のPRの方との交流もあるのですか?
矢吹さん:そうですね。本国のPR担当者にはレポーティングを行っていますし、以前は、スイスやデンマーク、ポルトガルに各国のPR担当者が集まってミーティングを行っていました。今は、アジア圏の担当者が集まって上海や香港、シンガポールでミーティングを行っています。

伊藤:では、記事にしていただくための記者さんとの付き合い方のコツがあったら教えてください。
矢吹さん:これは、私の考え方でもあるのですが、自社商品のことだけを話すということはしないように意識しています。美容・健康に関する情報を随時集めておいて、自社商品の情報とともに記者や編集者、ライターの方とお話するときに伝えていますね。また、百貨店の化粧品売り場では、他社のカウンターにも行き情報収集をします。弊社はスキンケアブランドなので、メイクに関しては他社のもの使っていますし、スキンケア商品であっても他社のものの良さを知ることも必要だと思っています。

伊藤:矢吹さんに聞けばいろんな情報が分かるということですね。具体的には、どんな情報を伝えていらっしゃるんですか?
矢吹さん:私が個人的に使っていたり、好きなものをお伝えしています。例えば、スリランカのアーユルヴェータの情報やキヨエオイルというオリーブオイルを使ったローズオイルの話などですね。

伊藤:アーユルヴェータの記事、雑誌で見たことあります。
矢吹さん:そうなんですよ。お話をしたら取材に行くという媒体の方がいらっしゃいました。とっても素敵な場所なので私も嬉しいです。実は3回も行っているんです。

伊藤:そうなんですね。ローズクオーツの山があるとか。
矢吹さん:そうです。かなりスピリチュアルな場所ですね。

伊藤:あの記事のネタ元が、矢吹さんだったとは! 情報通であることは、広報担当者にはとても大切なことですね。
矢吹さん:そうですね。自社商品の話だけをしているとなんだか売り込みをしているようで楽しくないのです。美容はもちろん、健康、旅行など、自分が興味のあるものについて楽しく話すと盛り上がります

伊藤:さすがです! そして、話が変わりますが昨年は、被災地に支援に行かれたと聞いたのですが。 。
矢吹さん:はい。光文社の「美ST」と「STORY」編集部が立ち上げたプロジェクトに参加しました。そのプロジェクトでは、物資だけではなく、整体やヘアメイクの方と一緒に現地に行って心のケアをしました。私は美容部員がお客様に行っているハンドマッサージを習って4回参加しました。

伊藤:やりたいと思ってもなかなかできることではないですよね。
矢吹さん:媒体が立ち上げたプロジェクトということできっかけをいただきました。現地では、家族のように感じることがあって涙がこぼれたこともあります。まだまだ終わりのないことです。これからもできることをしていきたいと思っています。

伊藤:確かに。では、最後に趣味、プライベートについて教えてください。
矢吹さん:ボクシングです!

伊藤:ボクシング!?
矢吹さん:実は20年以上、運動をまったくしていなかったのですが、自宅の近くにボクシングジムがあって「女性会員募集」という文字を見つけたんです。制作会社時代にボクシング番組に関わっていたこともあって、観る方の興味はあったのですが、まさか自分がやるとは思わなかったですね。始めてみたらすっかり虜です。これまでセルフケアとして鍼や整体に行っていたのですが、その分ボクシングに行くようになったくらいです。

伊藤:どのくらいの頻度で行っているんですか?
矢吹さん:始めた頃は週に4回くらい行っていました。今は週2回ですね。

伊藤:何か変わったことはありますか?
矢吹さん:身体が締まりましたね。代謝が上がったと思います。とても汗をかくのでデトックス効果を感じます。仕事柄、絶対に太れないので自分の好きなことで、身体を管理できるのは本当に嬉しいです。

伊藤:やはり身体の管理への意識は高いですよね。
矢吹さん:そうですね。間もなく、歯の矯正もスタートさせます。噛み合わせは身体に影響がありますから。治せるうちに治しておきたいと思っています。私たちの世代はメンテナンスが本当に大切だと思います。今の50~60代の方はとても元気ですけれど、私たちはそれ以上をいかなければ、と思っています。肌のツヤやハリなども、常にチェックしています。

伊藤:ほかに、何か行っていることはありますか?
矢吹さん:バンド活動です。

伊藤:えっ。いつからですか?
矢吹さん:学生時代は、ドラマーでハードロックのバンドをやっていたんです。

伊藤:意外ですね。
矢吹さん:バンド活動から、20年以上も遠ざかっていたのですがボクシングを始めたら、バンドをやっているメンバーがいて、ドラマーがいないというのでさっそく手をあげました。今は、自分にとって「二大楽しいこと(ボクシングとドラム)」をやっていて、とても充実していますね。

伊藤:それが、矢吹さんの元気の秘訣なのかも。
矢吹さん:そうかもしれませんね。私の原動力は「感動を伝えたい」という思いなのです。それは広報という仕事に繋がると。日々、それをやらせていただいているのは本当に幸せです。

伊藤:では、ずっとこのお仕事を。
矢吹さん:そうですね。ただ、化粧品にこだわっているわけではないので、本当に自分が好き、伝えたいと思うものをずっと伝えていけたら、と思っています。広い意味で良いものを伝えるという仕事をしていきたいですね。そして、それを楽しみたいです。

伊藤:素敵ですね。そういう生き方をされることで、ますます綺麗になっていくのではないかと! 今日はありがとうございました。


広報ウーマン24時
5:30 起床 朝ごはん、身支度、家事(簡単に掃除や洗濯など)
7:00 出発。電車内では読書など
8:15 出社。メールチェック。リリース書き、企画書やプレゼン作成など
11:00 社内ミーティング。他部署と情報共有。美容部員向け会議の準備など
12:00 美容ライターや編集者とのランチミーティング。ランチはほとんど外部の人と会い、情報交換や美容談義を
13:30 ラ・プレリーサロンのあるロイヤルパークホテルへ。取材や、プレス・セレブの対応など
15:00 プレス訪問。新商品のプロモート
17:00 社内業務。撮影用商品の貸し出し、校正チェック、アンケート、画像手配など
19:00 退社。退社後はセミナーやトークショーに参加したり、友人や美容関係者とお茶やごはんのときも
22:00 帰宅。音楽を聴きながら夕食づくり。ニュースを見ながらごはん。ゆったりお風呂。エッセンシャルオイルでボディマッサージ
24:30 就寝


編集後記
インタビューの冒頭にもお話しましたが、矢吹さんと私は同じ年齢です。そういうこともあって、とても親近感を持っています。そして、同じくらい矢吹さんの美しさと可愛らしさにいつも刺激を受けています。化粧品のPRということで、ずっと綺麗な世界でお仕事をされていたのかな? と勝手に思いこんでいたのですが、自宅になかなか帰ることができないテレビ番組の制作をされていたということに驚き! しかし、だからこそ安定感がある。柔らかい印象の後ろに、きっと「しなる強さ」を持っていらっしゃる。そして、ボクシングとドラムです。ギャップのある女性は魅力的。そんな見本のような方です。これからの活動も楽しみにしています。(伊藤緑)