vol.16 小林奈々子さん:リッキービジネスソリューション株式会社(2012年5月)

リッキービジネスソリューション株式会社 小林奈々子さん Nanako Kobayashi 31歳
リッキービジネスソリューション株式会社事業推進部 ビジネスマッチング・広報担当
千葉県出身 明治大学経営学部卒業 2008年10月末、リッキービジネスソリューション株式会社に入社後、食の商談会「地方銀行フードセレクション」やインターネット通販「地方からの贈り物」の広報を担当。趣味は農園の土いじり、旅行、テニス、皇居ランニング
広報歴:3年

リッキービジネスソリューション株式会社:http://www.rickie-bs.com/
地方銀行フードセレクション:http://www.food-selection.com/
地方からの贈り物 インターネット通販:http://chihou-gift.com/


人と人を繋ぐことを自らの仕事に決めた女性


伊藤:こんにちは。本日はありがとうございます。さっそくですが、これまでと今のお仕事についてお聞かせください。
小林さん:はい。こちらこそ、よろしくお願いします。

地方銀行フードセレクションにて

伊藤:小林さんは、今は「地方銀行フードセレクション」のお仕事をメインでされていますが、もともと食に関する仕事をしたいと思っていたのですか?
小林さん:いえ。新卒で入社するときは編集や企画をやりたくて出版社を狙っていました。しかし、思うようにいかず広告代理店に入社したんです。

伊藤:出版社希望だったんですね。人気ですよね。でも、広告代理店も人気じゃないですか! どんなお仕事をされていたんですか?
小林さん:いわゆる広告営業です。足でまわって仕事を取ってくる。まさに営業成績が如実に出る世界です。

伊藤:テレビでよくグラフが出ていたりするのを見るのですが……。
小林さん:そういうこともありました。とにかく数字ですから、飛びこみ営業もやりましたよ。

伊藤:すごいですね! 私は飛びこみ営業ができる人は本当に強い人だと思っているんです。だって、アウェイな状態からのスタートですからね。これができる人は腹が据わっているというか、ちょっとのことじゃぶれないと思っています
小林さん:そうかもしれませんね。ただ、代理店で広告主と制作の方を繋ぐうちに、自分も制作がしたい! と思うようになったんです。そこで、会社に勤めながらWeb制作の学校に通い始めました。正直、営業は楽しかったけれど、やり尽くした感もあり次の場所へ行きたかったんです。

伊藤:代理店で仕事をしながら学校に通うのはとても大変では?
小林さん:そうなんです。それで、代理店を辞めて勉強に集中することにしました。ただ、仕事はしなくてはいけないので、定時で終わることができる商社の受付の仕事を始めました。

伊藤:商社の受付も憧れる方が多いのでは?
小林さん:そうですよね。私は新聞で求人を見つけて応募したのですが、かなり倍率は高かったみたいです。

伊藤:そこで、受付の仕事をしながらWeb制作の勉強を。
小林さん:はい。そうなんですが、Webの制作をしていくうちにいろんなことが分かってきて。

伊藤:というのは?
小林さん:あんなにやりたかったことなのに、実際に作業を始めると、ひとりでひたすらコツコツデザインの作業をすることがとても苦痛で。昼間、受付で人と話をしていることがとても楽しいと思えるようになったんです。

伊藤:それは、経験したから分かったことですね。
小林さん:まさにそうです。

伊藤:そこでどうしたんですか?
小林さん:いろいろ考えました。受付の仕事は楽しかったですが、やはり正社員として働きたいという思いがあったので、資格を取ろうと思ったんです。それが簿記の2級でした。

伊藤:それはなぜ?
小林さん:私は数字に弱いと思っていたので勉強しようと思って。商社の受付をやりながら独学で取りました。正直、すでにWebのスクールでお金を使っていましたから(笑)

伊藤:小林さん、ほんと勉強熱心で素晴らしいです。ほかにも何かされたんですか?
小林さん:ワードやエクセルを学び直しました。これは必須だと思っていたので。

伊藤:そして、再度転職をされるということでしょうか?
小林さん:そうですね。あっちこっちにぶつかりながら、今の会社にたどり着くことになります。

伊藤:リッキービジネスソリューションに入社したきっかけは何ですか?
小林さん:ワードやエクセルをパソコンスクールで習っていたんですが、そこのコンサルティングをしていたのが、リッキービジネスソリューションだったんです。

伊藤:そんな出会いが! でも、会社名を聞いて何の会社か分からなかったのでは?
小林さん:ほんとそうです。ただ、仕事の内容は、自分が目指しているものに近かったのでご縁だと思って入社しました。

伊藤:目指していたものとは?
小林さん:簿記の資格を取ってから、数字と向き合う仕事が楽しいと思うようになったんです。デザイン系は答えがないので、いつまでも悩んでしまうのですが、数字には答えがあり、そこに向かって黙々と仕事をするのは向いていると分かったんです。ですので、次の仕事は会計事務所や経理関係の仕事、コンサルティング会社も視野にいれていました。そして、将来は会計士や税理士の資格をとって独立したいとも思っていたんです。

伊藤:では、金融機関と企業を繋ぐというリッキービジネスソリューションは、希望の職種だったんですね。
小林さん:はい。入社当時はコンサルタントのアシスタントの仕事もしていました。女性が少なかったことや入社したばかりだということで、イベントの手伝いや弊社代表・澁谷耕一の講演に同行するなど、本当にいろんなことをさせていただきました。そして、入社1週間後に2008年の「地方銀行フードセレクション」が行われたんです。会場の東京ビッグサイトに赴き、壮大なイベントであることを知って感動しました。その後、私がイベント向きであると会社が判断してくれ、2009年から地方銀行フードセレクションのメインの担当者になりました。

伊藤:代理店時代からいろんな経験を経てたどり着いた場所という感じですね。地方銀行フードセレクションについて教えてください。
小林さん:「地方銀行のネットワークを活かし、全国の『安心・安全・ おいしい」食材のご紹介を行い、それを通して地域経済と食文化の活性化を実現します」とうたっていて、具体的には、地方銀行がお勧めする食品メーカーや生産者に出展していただき、商談会を行うイベントです。

伊藤:キーは地方銀行なんですね。
小林さん:そうですね。銀行があってその先に食品メーカーや生産者がいます。地方銀行フードセレクションは、食品メーカーや生産者をバイヤーやシェフと繋ぐイベントです。私が担当者になって今年で4回目の開催ですが、この仕事をやらせていただけることにとても感謝しています。

伊藤:それは、どういう意味で?
小林さん:最初は仕事の相手が銀行の方ということで、とても緊張しました。電話をするのも、年上の男性ということが多くて。ただ、トライしてみるとできるもので今は「教えてください」という姿勢でお付き合いをさせていただいています。ですので、新しい挑戦ができたこと、そして、多くの方とご縁ができたことも財産だと感謝しています。

伊藤:素敵ですね。では、イベント開催までの流れを教えてください。
小林さん:最初に参加する銀行が決まります。その銀行が取引先である食品メーカーや生産者の中から出展する方を決めます。出展する方が決まったら、私が直接、食品メーカーや生産者とやりとりを行います。

伊藤:ちなみに、銀行は何行で出展社は何社ですか?
小林さん:昨年は、37行の銀行に参加いただき、612社の出展がありました。今年は、もっと増える予定です。

伊藤: 一人で612社とやりとりをしているということですか?
小林さん:そうですね。出展が決まれば612社と同時に作業を進めていきます。出展マニュアルを作ったり、バイヤーと繋ぐためのWebサイトを作ったり、やることは多いです。

伊藤:出張もあるんですよね。
小林さん:出展社説明会を行うので地方にも行きますね。説明会は、1ヶ月で全国をまわるイメージです。今年は7月に行います。

伊藤:今年の地方銀行フードセレクションの開催はいつですか?
小林さん:2012年は10月23、24日です。

伊藤:あっという間にその時期が来てしまいそうですね。出展社以外ともお付き合いがあるんですか?
小林さん:なにかしら食品メーカー、生産者とやりとりしています。昨年は612社の出展でしたが、おつきあいのあるメーカーや生産者は1000社以上あるんです。また、商談会を地方でも行っているので、バイヤーに来てもらうための案内を送ったり、食品メーカーの新商品情報をメールで流したり。食品メーカーや生産者とバイヤーやシェフを繋ぐのが私の役割だと思っているので、常に情報を集めてシェアしています。時々、こんな商品を作りたいけれど、コラボレーションできるメーカーさんありますか? という問い合わせもきます。そういうときは情報を流してお繋ぎしています。うまくいったときは商品企画に関わったようで本当に嬉しいです。

石巻市へバイヤーと訪問

伊藤:昨年は、震災がありましたが開催に影響はありませんでしたか?
小林さん:フードセレクションを開催するかどうか、何度もミーティングを行って決めました。被災された食品メーカーの方から、商品がなくてもやってほしい、出展したいという声をいただいたときは本当に嬉しかったです。まさに復興の手助けをするのが銀行だったりもしますから、このイベントはやるべきだと思いました。その結果、被災地である宮城県、岩手県、福島県の方も出展してくださいました。そして、出展料の3%を義援金にして復興支援に使いました。今年は被災した3県にバイヤーを連れて行くため、義援金の一部を使っています。4月には、宮城県の石巻市にバイヤーと一緒に行ってきました。
伊藤:現地からの希望を受けてのことですか?

小林さん:そうですね。銀行や出展社の方のお話を聞くうちに「現地に来て話を聞いてほしい」と思っていらっしゃることが分かったので、バイヤーと一緒に行くという形を取りました。

伊藤:本当に繋ぐお仕事ですね。
小林さん:ただ、以前は食品メーカーや生産者とバイヤーを繋いで仕事にしなければいけないという気持ちがとても強かったんです。今はまず商品を知ってもらうというところからスタートすることが大事だと思っています。地方の名産を多くの人に知ってもらうということです。

伊藤:小林さんは、リッキービジネスソリューションの広報というより、まるで食品メーカーや生産者の広報ですね。
小林さん:ある意味そうかもしれません。この仕事を通してイベントを企画すること、人と人を繋ぐこと、それが社会貢献に繋がることを学びました。食品メーカーや生産者のために私ができることを日々考えて実行していきたいと思っています。ですから、この仕事をさせていただけることに本当に感謝しています。

伊藤:この仕事をされるために何か勉強されましたか?
小林さん:フードアナリストの資格を取りました。フードアナリストは、消費者の代表という意味のある資格なので、実際に食材を食べる側として意見を言えるようになりたかったんです。また、食の知識を高めて、消費者目線で食品メーカーや生産者と話をすることが役割だと感じているので、買う人が何を求めているかをお伝えできるようにと思っています。

畑でのショット

伊藤:常に勉強されていますね。では、ここからプライベートなことを聞かせてください。今は元麻布農園のシェアハウスに住んでいらっしゃるとか?
小林さん:そうなんです。昨年の夏に雑誌で元麻生農園のことを知って興味を持ちました。この仕事をしているのであれば、作り手の気持ちを知りたい、自分でも野菜を作りたいと思ったんです。実は、雑誌には「農園付きシェアハウス」ではなく、「農家付きシェアハウス」と書いてあったので、農家さんと話せる、教えてもらえると思ったことも魅力でした。実際、定期的に農家の方がいらっしゃって教えていただいています。

伊藤:農園ではどんなことをされているんですか?
小林さん:有機野菜講座というのがあって野菜を育てています。これはとても楽しいですよ。自分たちで作った野菜を自分たちで調理して食べる。住んでいなくても参加できるので、興味のある方にはお勧めです。

伊藤:スーパーで購入する野菜とは違いそうですね。
小林さん:全然違いますよ。

伊藤:それ以外に何かされていることは?
小林さん:今、ぬか漬けに凝っています。一人ではできないと思って、私がぬか床番長になってシェアハウス内で当番制にしています。ぬか漬けって半日で食べられるんですよ。実はそんなことも知らなくて農家の方に教えていただきました。“ぬか”も農家さんに譲っていただいたんです。

伊藤:今後はどんなことをしていきたいですか?
小林さん:今は発酵食品に感心があって、味噌や甘酒を作ったりしています。発酵食品を通して、体質改善など介護や健康に関わることをしていきたいと思っています。発酵食、特に甘酒には何万という菌があって、人間の身体を良くする効果があるといわれています。そこで、日本食を使って病を少しでも軽くできるようなこと、子供たちが丈夫に育つようなことなど、行っていきたいと思っています。

伊藤:夢が広がりますね。これからの小林さんの活動が楽しみです。今日はありがとうございました。


広報ウーマン24時
7:00 起床。ラジオで今日のニュースをチェックしながら身支度
8:15 出社。 日本食糧新聞や食関係のニュース、メールをチェック。近日開催予定の各イベントの事前来場登録者数の確認
8:30 社内ミーティング。開催予定の商談会の進行状況報告、企画の打ち合わせ。PRスケジュールの確認
9:30 社長に同行した群馬銀行頭取のインタビュー記事作成。写真選び。記事構成作成。先方との校正やりとり
11:30 通販カタログの受注。生産者へ商品発送の連絡を入れる
12:00 販路先の相談があった埼玉・興和物産の「武蔵のうどん」の試食兼、ランチ
13:00 静岡銀行担当者と7月開催 「熱海のお土産ブランドPRイベント」の企画打ち合わせ
15:00 「復興応援商談会in石巻」の開催後の記事を各業界紙に掲載してもらうため、参加した食品バイヤーや視察先の生産者に専門の記者による取材の依頼。取材記者の手配
16:00 八十二銀行担当者と信州観光商談会の企画について電話で打ち合わせ、企画書作成
17:00 「地方銀行フードセレクション2012」の企画打ち合わせを幹事行の常陽銀行担当者と電話で打ち合わせ。企画書に加筆修正
18:00 群馬銀行担当者に「ぐんぎん食と観光の交流会inTOKYO」の事前来場者登録数報告、開催までのスケジュールPR関係、開会式の確認
19:00 通販カタログの生産者や商談会を一緒に主催している地方銀行担当者、出展社、来場者からの問い合わせメール対応
20:00 食品バイヤーへのメールマガジン、ブログ作成
22:00 帰宅。シェアハウスの住人と酒を飲みながら、ニュースを見てまったり
24:00 就寝


編集後記
「リッキービジネスソリューション」という会社名を聞いたとき、正直、何をやっている会社なのかな? と思いました。社長の澁谷耕一様とお会いする機会がありリッキーという言葉が、亡くなられた奥様のニックネームであることを知り、なんと素晴らしい社名なのだろう、と思いました。そして、コンサルティング会社でありながら地方銀行とその取引先の食品メーカー、生産者のための“食”のイベントをされていることを知り、さらに驚きつつ新しいことを考える企業だと感じました。一昨年「地方銀行フードセレクション」にお伺いさせていただきましたが、その活気に圧倒されました。今回のインタビューで小林さんは、食品メーカー、生産者をPRするという立場であることを改めて感じ、人と人を繋ぐという澁谷社長の思いを受け継がれていらっしゃる、とも感じました。毎年、大きくなっていく「地方銀行フードセレクション」が今後も楽しみです。(伊藤緑)