vol.12 日本野菜ソムリエ協会・NPO法人 いすみライフスタイル研究所:黒川和江さん(2010年10月)

日本野菜ソムリエ協会・NPO法人いすみライフスタイル研究所 黒川和江さん Kazue Kurokawa
日本野菜ソムリエ協会 フードエデュケーション事業部 プランナー
シニア野菜ソムリエ
NPO法人 いすみライフスタイル研究所 理事
大学卒業後約10年アニメ関連の会社にて、商品の販売促進やイベント企画などを行う。退社後、野菜ソムリエの資格を取得。あらゆる角度から野菜・果物・農業の魅力・楽しみ方を提案。主に、野菜・果物・食・農業関連の(フィールドも含む) イベント企画・運営・アドバイス・プロデュース等を行い、年間200件を超えるイベントや講座に携わる。講師・コラム執筆/編集・野菜果物のイラストレーター等を行う。今年より、大学時代より住んでいた東京を離れ、ふるさと千葉県いすみ市にて、米・野菜・果物づくりに触れながらまちづくりに取り組む。
2005年11月 ジュニア野菜ソムリエ取得
2006年7月 野菜ソムリエ取得
2008年3月月シニア野菜ソムリエ取得
野菜ソムリエ歴:5年
<主な肩書き>
・日本野菜ソムリエ協会認定 シニア野菜ソムリエ(全国56名 2010年8月現在)
・日本野菜ソムリエ協会ベジフルプランナー
・野菜ソムリエコミュニティーT0KYO 代表(会員約320名 2010年5月現在)
・みやざきブランドGメン
・高知野菜サポーター


生まれ育った町と野菜・果物の魅力を伝える女性


伊藤:こんにちは。お忙しい生活のなか、お時間いただきありがとうございます。
黒川さん:今日は東京への出勤日なので大丈夫ですよ。でも、2時間半かけて通勤してきました。

伊藤:今はどこにお住まいなんですか?
黒川さん:千葉県のいすみ市です。千葉県の房総半島南部ですね。

伊藤:気候が良さそうですね。ところで、なぜいすみ市に?
黒川さん:実家なんですよ。ただ、昨年まで約20年東京に住んでいました。大学を卒業して約10年は食とは関係ないキャラクターグッズを扱っているアニメ関係の会社で、販売促進の仕事をしていたんです。ただ、アニメが大好きというわけでもなかったため、自分が好きな食に関する仕事をしたいと思ったんです。

伊藤:でも、アニメ関係の仕事といったら、憧れる人も多いよね。それになによりお忙しかったのでは。
黒川さん:確かに休みが少なかったですね。だから、働きながら野菜についての勉強しようと思ったんですが、その状態では資格を取ることができなくて。会社を辞めてジュニア野菜ソムリエと、野菜ソムリエの資格を取ったんです。そして、その後、野菜ソムリエ協会がアルバイトを募集しているということで協会と関わるようになりました。

伊藤:ちなみに、野菜ソムリエというのは段階があるんですね。
黒川さん:はい。3段階になっていまして。今、一般的に野菜ソムリエと言われているのは、実は「ジュニア野菜ソムリエ」なんです。芸能人の方も多数取られているので、かなり有名ですね。その次が「野菜ソムリエ」という資格です。そして、私が持っているのが「シニア野菜ソムリエ」になります。内容的にはジュニア野菜ソムリエはご自身が楽しむ、野菜ソムリエは人に伝える。シニア野菜ソムリエはビジョンを持って社会で活躍するという違いがあるんです。

伊藤:それぞれ何人くらいいらっしゃるんですか?
黒川さん:ジュニア野菜ソムリエが8月末現在で30,573人。野菜ソムリエは1,111人。シニア野菜ソムリエが56人ですね。今度、野菜ソムリエ30,000人突破を記念して10月16日(土)に野菜ソムリエ認定レストラン「葉山庵TOKYO」で『日本全国野菜ソムリエ3万人の “輪” 』パーティーを開催するんです。

伊藤:本当に人気のある資格なんですね。ちなみに黒川さんは今、紫色のスカーフをされていますが、これにも何か意味があるんですか?
黒川さん:スカーフは、資格の段階によって色が違うんです。「ジュニア野菜ソムリエ」は赤、「野菜ソムリエ」は緑、そして「シニア野菜ソムリエ」は紫なんです。

伊藤:そうなんですね。「シニア野菜ソムリエ」は、日本中に56名しかいないなんて、とても難しい資格だと感じます。
黒川さん:そうですね。確かに自分のビジョンをきちんと持つという意味ではハードルは高いかもしれません。食に関わっている職業の方が多いですが、そうでない方もいらっしゃいますよ。

伊藤:野菜や果物、それらを育てることへの愛を感じます。少し話が変わるのですが、今の黒川さんの日々と今の生活に変わるまでの経緯を教えてください。
黒川さん:去年までは、毎日、野菜ソムリエ協会で仕事をしていました。主にイベントの企画や講座などですね。東京の卒業生のコミュニティの代表もやっていました。そんなときに東京に住んで、東京で野菜や果物の魅力を伝える仕事ができる人は私以外にもいるはず、でも兼業農家に生まれ育って農業に関心がある自分は、東京にいるよりも、ふるさと”いすみ”という地域にもどり、地域や農業活性化のお手伝いがしたいと思ったんです。そこで、頻繁に実家に帰るようにして昨年末にいすみに引っ越しました。

伊藤:でも、東京で20年くらいしてきて勇気が必要だったのではないですか?
黒川さん:そうですね。いすみに帰っても仕事があるわけではないだろうな、ということは分かっていたので、協会の方に相談して週2,3日を協会で働かせていただきながら、いすみでの生活を始めることにしたんです。

伊藤:いすみでは、どんなことをされているんですか?
黒川さん:当初からまちづくりをやりたいと思っていたので、市役所に自己紹介がてらメールをお送りしたところNPO法人を紹介してくださいました。

伊藤:それが、今、理事をされている「NPOいすみライフスタイル研究所」ですか?
黒川さん:はい。ですから今は、野菜ソムリエ協会での仕事とNPO法人での仕事とフリーでの活動を行っています。

伊藤:「野菜ソムリエ協会」ではどんなお仕事をされているんですか?
黒川さん:卒業生向けの講座やイベントなどを引き続き行っていることと、講師依頼の対応や自治体との取り組みなどのお仕事を行っています。

伊藤:「NPOいすみライフスタイル研究所」では、どんなことをされているんですか?
黒川さん:まちづくりをしている団体なので、イベントや情報発信に関する業務が多いですね。メンバーと話をするのですが、生まれ育った町なのでとても話がはずみます。田植え時期には、農コン(農業コンパ)をしたりしていますよ。これを立ち上げたのは、ほかのメンバーですが一緒に企画をして、進行したりですね。農コンは男性は地元の方が多くて、女性は東京の方が多いです。地方の暮らしに興味のある方も多いようです。そういうイベントの際に取材がはいることもあるので、その対応も行っています。

伊藤:まさしく広報的なお仕事ですね。
黒川さん:今は、地方でのまちづくりも注目されているので、NHKや千葉テレビ、新聞の取材もあります。雑誌でも、地方のローカル線として「いすみ鉄道」を紹介する記事が出ていて、興味のある人は多いのだなと感じます。そして、いすみにはムーミン人形がいるんです。それを作っているのが同級生だったり。そういう繋がりも地元ならではですね。

伊藤:都会の方がいすみにいらっしゃることも多いのですか?
黒川さん:ありますね。11年くらい前から住んでらっしゃる方ですが、マクロビオティックで有名な中島デコさんがカフェをされていたり。古民家を使ったお店もありますが、その一軒がご夫婦でパン屋さんをされていたり。ただ毎日営業しても売れないので、週末パン屋さんで平日は都心に卸したりされているようです。
伊藤:都会の方は、どんな目的でいらっしゃるんでしょうね。

黒川さん:癒しということもありますが、農業に関心を持っていてこれまでは家庭菜園をやっていたけれど、もっと本格的にやりたいという方などもいらっしゃるようです。これは、実際に帰ってみて実感したことです。若いご夫婦で移り住んでいらっしゃる方もいます。

伊藤:生活面では大変にならないのでしょうか?
黒川さん:たぶん都心にいるよりはお金は使わないですね。収入が減っても楽しく生きていきたいという方には、とても向いていると思います。最近は、Web制作や、映像、音楽関係の方で、農業をしながら制作活動をしているという方も多いですよ。

伊藤:生き方を自由に選べる時代になったということなのかもしれませんね。NPOではほかにはどんなことをされているんですか?
黒川さん:7月からふるさと雇用再生特別基金の助成を受け情報発信や体験ツアーを企画して運営していくことを請け負ったので、地元にいるときは事務所に行って先ほども言いましたが、一緒にイベントを企画や情報発信サイトの進行管理や、実は経理関係もしています。

セミナーで行う「野菜の食べ比べ」

伊藤:確か10月23(土)~24日(日)に女性を対象にした「美と健康と癒しツアー」があるとご案内をいただいています。「パワースポット・天道の神社としても有名ないすみ市の玉崎神社(上総一ノ宮玉前神社の元宮)に立ち寄ります」とう言葉にすごく行きたい! と思ったんです。
黒川さん:そのツアーもそうですね。ほかには、地方のPRのお仕事もしています。今は宮崎県や高知県ですね。宮崎に関しては、店頭で正しく宮崎のものが売られているかをチェックする仕事「みやざきブランドGメン」をしています。また、地方の情報をBlogに書いて発信したりとか。また、名刺のイラストもそうですが、イベントの際に野菜のイラストも描いたりもしています。

伊藤:本当に幅広いですね。
黒川さん:協会では各県の方に講師になっていただきながら、ワークショップなどを開催してきましたが、今年から、都道府県の地域、県や市と提携して野菜ソムリエが農産物をPRする「野菜ソムリエ自治体パートナー制度」がスタートしました。そのこともあり、各県のお仕事のコーディネートなども増えていきましたね。

伊藤:野菜ソムリエというと、芸能人の方がたくさん取得されている自分が楽しむための資格というイメージがありましたが、奥が深いですね。
黒川さん:確かにタレントさんが資格を取られることでイメージが先行していますが、大切なのは野菜なんです。私は、少し早めにシニア野菜ソムリエを取得できたので、これからもあらゆる方法で野菜ソムリエや農業の可能性を広めるための活動をしていきたいと思っています。あくまで今回は、私のお話でしたが、野菜ソムリエさんは、様々な活動の仕方があり各地で活躍されていらっしゃいますので、皆様とのネットワークも大切にしていいきたいとおもいます。

伊藤:今日はありがとうございました。


野菜ソムリエウーマン24時
ふるさとで田舎暮らしをはじめ、半分は農業を身近で学びながらまちづくり活動に取り組む。週2、3日は往復約5時間かけて東京渋谷にある日本野菜ソムリエ協会で仕事をしています。
5:45 起床 朝食を食べ、身支度をし、車で最寄り駅へ電車を乗り継ぎ、移動中メール確認などしながら約2時間かけて東京渋谷へ
9:15 メール確認・当日のスケジュール確認と指示準備や予定調整・朝礼など
10:00 メール対応・午後の講座資料確認・業務指示外部講座の相談対応・講師・アシスタント手配等
12:00 社内の方とランチミーティング
13:00 野菜ソムリエ講師依頼来客対応。
13:40 「野菜ソムリエ野菜教室」講座の運営最終確認と講師紹介等、講座開始のご挨拶等
14:30 講座はお任せし、メール対応 新規プロジェクトやイベント等の内容・告知確認。外部講座の講師と電話打ち合わせ。
16:00 「野菜ソムリエ野菜教室」講座終了後の確認・指示。講師と打ち合わせ等。同時に、外部料理講習会の食材買出しと備品準備の指示 等
16:30 月末請求確認・各種業務確認・ミーティング等
17:30 外部料理講習会の食材と備品の最終確認と打ち合わせ。野菜ソムリエの相談対応 等
18:30 新規各種講座の企画内容・状況確認。メール対応・次回出勤および、在宅のための業務整理・共有・引き継ぎ等
19:30~20:00頃  業務終了。
東京勤務が週2、3日のため、日によっては社内外の方との会食し約2時間半かけて帰宅。22時過ぎには都内を出ないと終電のため会食するとだいたい終電に移動中メール確認しながら帰宅。
25:30頃 ちょっと一息つきお風呂に入り就寝。
だいたい、次の日は地元でのまちづくりの仕事のため車で10分位のNPO事務所へ通勤。


編集後記
野菜ソムリエという資格が3段階あることを今回、初めて知りました。また、シニア野菜ソムリエの方は、本当に貴重だということも。ただ、野菜や果物が好きだというだけでなく、自分のビジョンを掲げる必要があるとてもしっかりした資格だと感じました。広報の方からは、今年、山口もえさんが、3段階の真ん中の「野菜ソムリエ」の資格を取られたと聞きました。また、ロンドンブーツ1号2号の、田村淳さんも「ジュニア野菜ソムリエ」を取られたということも。割合的には女性が8割だそうですが、男性にも注目していただきたい資格ですね。って、その前に私自身が自炊をしなくては(爆)。(伊藤緑)