vol.9 株式会社スターダスト音楽出版 A&R I マネージャー:樋口ゆりやさん

株式会社スターダスト音楽出版社 樋口ゆりやさん Yuriya Higuchi
東京都生まれ。(株)日本エアシステム(現:日本航空)にてフライトアテンダントとして活躍後、スチュワーデス専門学院で教官業務を経て、2000年よりタレント・アーティストマネージメント職に就き、現在に至る。

マネージャー歴:10年


人との繋がりを大切にする女性


伊藤:こんにちは! 先日はライブの際にご挨拶だけで。今日はゆっくりお話を聞かせてください。
樋口さん:こちらこそ先日はありがとうございました。今日はよろしくお願いします。

伊藤:樋口さんの今のお仕事は、マネージャーということでいいんですよね。
樋口さん:そうですね。石井杏奈のマネージャーになります。

伊藤:マネージャーのお仕事は、広報の仕事と通じるなと思っているので、ぜひ、そのあたりもお聞きしたいです。特に社長の広報をしている広報ウーマンとは共通する部分があるような気がします。
樋口さん:そうですね。そうかもしれません。特に今は少人数で行っているので、石井との関係は、同じ方向に歩くパートナー的存在だと思っています。

伊藤:石井さんは今は広島在住だそうですが、樋口さんは、広島へはよく行かれるんですか?
樋口さん:月に2回くらいですね。やはり、広島での仕事が多いので、私が広島に行くことが多いです。石井は、2ヶ月に一度くらいレコーディングなどで東京に来ます。

伊藤:石井さんは、まだ16歳ということでマネージャーというと家族のような存在のような気がしてしまうのですが……。
樋口さん:マネージャーは非常に微妙な距離感が必要だと思っていて、家族になってしまってはいけないと思っています。しかし非常に近い距離ですね。

伊藤:今は東京に出てくるアーティストが多いと思うのですが、石井さんは敢えて広島で、ということですか?
樋口さん:そうですね。その土地で愛されて、そしてゆくゆくは全国へと広がっていければと考えています。彼女を今後どうやって見せていくかもマネージャーの仕事ですね。

伊藤:これからのアーティストなので、とても楽しみでありとてもチャレンジングなことですね。
樋口さん:ほんとそうです。

伊藤:ところで、樋口さんはマネージャーというお仕事は長いのですか?
樋口さん:長いといえば長いですが、学校を卒業したあとはフライトアテンダントを8年8ヶ月していました。

伊藤:いわゆる当時でいうところのスチュワーデスってことですよね。憧れの職業じゃないですか!?
樋口さん:国内線を含めて、ハワイ、シンガポール、ソウルなどの国際線も飛んでいました。ほんと20代は飛んでいたって感じです。

伊藤:そのお仕事を辞められた理由はあるんですか?
樋口さん:9年弱飛んで自分の中で全うした感があったんです。それで、自身が飛ぶことはやめて、そのあとフライトアテンダントを希望する人たちが通う学校で教官をしていました。

伊藤:それは、自身の経験を含めて話すということですね。
樋口さん:はい。子供の頃は体育の先生になりたいという夢を持っていたこともあったので、伝える仕事をしたいという思いもありましたし。

伊藤:フライトアテンダントということで繋がっているとしても、自身が経験するのを教えるのはやはり違いますよね。
樋口さん:でも、とても魅力的な仕事でした。それを3年やったんです。

伊藤:3年!? なんだか短いような気がしますが。
樋口さん:私はずっと仕事をしていきたいなと思っていて、その時に何か教官という仕事ではないような気がしたんです。そこで、心にふっと入ってきたのがマネージャーという仕事で。

伊藤:失礼ながらなのですが、この時すでに30代ですよね。マネージャーというと20代の仕事というイメージがあるのですが。
樋口さん:そうかもしれませんが、私の中に迷いはなくてフライトアテンダントという仕事は、一期一会の世界。一日でお客様との関係は終わっていくのですが、もっと長く付き合っていける世界にいきたいと思ったんです。それと、もともとエンターテインメントは好きだったんですよ。

伊藤:周りの人の反応どうでしたか?
樋口さん:辞めた方がいいよという友人もいました。でも、ちょうど女性マネージャーを探していて、未経験でも良いというところがありまして、そこで1年間女優のマネジメントをしました。そこで、マネージャーの”いろは”をすべて教えてもらいましたね。

伊藤:なんだかすごくバイタリティを感じます。フライトアテンダントという華やかな仕事をして、その後、教官もして、そして、マネージャーという新たな世界に挑戦する。聞いていてもワクワクしますね。でも、不安はなかったんですか?
樋口さん:不安はなかったですね。それに年齢も関係ないと思ってました。

伊藤:素晴らしい! その後、事務所を変わられたんですか?
樋口さん:1年しっかりマネージャーの仕事を学んだあと、事務所を変え藤原紀香さんのマネージャーをしていたんです。

伊藤:なんて旬な方! 忙しかったんじゃないですか?
樋口さん:この時期は、ほとんど寝ないで仕事していましたね。連ドラが入ると特に忙しかったです。彼女は仕事に対してとても追求する人、バイタリティーのある人で、かなり私もインスパイアされました。ニューヨークやアフガニスタンにも同行し非常に勉強になりました。とにかく仕事を中心に置いていました。年中無休なんでも屋的な存在ですね。

伊藤:タレントさんとのコミュニケーションは、どういう形なんですか?
樋口さん:とにかく話すことが大事ですね。こういう仕事がやりたいとか、こういう方向に行きたいとか、難しいけれどエキサイティングな仕事です。

伊藤:その後、今の会社へ?
樋口さん:そうです。今の会社では、ミュージシャンを担当することが多いのですが、ミュージシャンはCDを世に送り出していくまでの制作期間がとても長いです。そこには音づくりの各セクションのプロの方々が多く関わり、セッションしていくという活気のある現場です。ここでも人との繋がりや折衝はとても大切です。

伊藤:フライトアテンダントも教官もマネージャーもとにかく人と関わる仕事ですよね。
樋口さん:好きなんですよ。人と話をするのが、自分が心地よいんですね。特にマネージャーの仕事は、エンターテインメントにスタッフとして関わって、それが世に送りだせるというのを目にするのはとても気持ち良いです。

伊藤:なんだか良い話がたくさん出てきますが、大変な部分はありますか?
樋口さん:個人的な予定がまったくいれられないことですね。

伊藤:やはり仕事中心になっているわけですね。でも、その仕事で輝いているというのが伝わります。先日、石井杏奈さんのライブに行ったときも、あの時が、彼女の東京での初めてのお披露目だったんですよね。なんだか樋口さんはとても嬉しそうで。自分の手で育てた女の子が世に出て行くという感じなのかな、と思いました。
樋口さん:特に今は新人を担当しているので、少人数でやっています。その分、より密に感じる部分はありますね。新人は未知数ですし、やりがいはあります。

伊藤:とても素敵なことだと思います。では、そんな忙しい樋口さんの趣味はなんでしょう
樋口さん:趣味をする時間はほとんどないですが、ドライブやスポーツが好きですね。ボディボードをやっていた時期もありますし。

伊藤:とにかくアクティブな感じですね。これまでのお仕事の流れも、迷うより、自分の心に入ってきたことをすぐ実行する、という感じがします。多くの方は、妙に悩んだりして、足を止めてしまうこともあると思うのですが、樋口さんは常に動いているという感じがして、お話していて気持ちがいいです。
樋口さん:これまでの仕事があって、今の仕事があると思っています。これからもあのマネージャーだから仕事がしたい! と言ってもらえるような仕事をしていきたいですね。

伊藤:今日はありがとうございました。私も元気をもらいました。


マネージャーウーマン24時
5:30 起床 身支度 朝食
6:40 広島へ新幹線で移動
11:20 広島到着
12:00 イベント会社の方とランチミーティング
14:00 ラジオ局の方との打ち合わせ
16:00 アーティストのイベント(ライブ)出演 同行・会場にてCD販売
18:00 CD販売店への販売実績報告と在庫返却
19:00 ホテルチェックイン
20:00 広島スタッフの方々との食事会
22:00 ホテル到着 お風呂でリラックス ストレッチ・メールのチェックなどPC作業
25:00 就寝


編集後記
樋口さんにお会いしたのは、2010年1月30日の石井杏奈さんの東京での初ライブの日です。代官山の「晴れたら空に豆まいて」というライブハウスでご挨拶だけしました。そのときに、なんだかとってもエナジーみたいなものを感じたことを覚えています。年齢が近いことがとても親近感でありながら、生きてきた道筋の違い、でもそこに見る憧れのようなアクティブ感。共通する部分と違う部分を両方感じました。人との繋がりを大切にされる方だからできる仕事をされてきているな、とも実感しました。(伊藤緑)

photo by eiji yamagata(社内写真)