vol.7 高坂一子さん:三起商行株式会社(MIKI HOUSE)(2009年11月)

三起商行株式会社 高坂一子さん Kazuko Kosaka
大阪生まれ。大学卒業後、ミキハウスに入社。営業部、新卒採用担当に。この間、出産・子育てのため2年半仕事から離れる。1995年に復帰。新卒採用のオペレーションを担当した。その後、2000年Web担当に。これまでオフィシャルサイトのリニューアルを3回手がけ、2005年より広報部所属。Web担当を兼任しながら、広報活動を行う。企業広報とミキハウス所属選手の取材対応、社内報の編集に携わる。1978年創刊の社内報のリニューアルを実行、さらに別冊を創刊。夫と娘の3人家族。大切にしていることは「感謝の気持ちをもつこと」。励まされた言葉は、「はじめることは誰でもできる。続ける人が少ない。続けてこそ道ができる。道となる。」
広報歴:4年
三起商行株式会社(ミキハウス):http://www.mikihouse.co.jp/


さまざまな働き方で道を切り拓き続ける女性


伊藤:こんにちは! 今日は、大阪、八尾にお伺いさせていただきました。よろしくお願いします。昨日の関西広報ウーマンミーティング(この取材は関西広報ウーマンミーティングの翌日に行っています)にもご参加いただきありがとうございました。
高坂さん:こちらこそ、とっても楽しかったですね。今日は、八尾まで来ていただきありがとうございます。

伊藤:とても素敵な場所ですね。子供服がこういう場所で作られていることをなんだかとても嬉しく思います。のびのびとした感じで。
高坂さん:こちらに移って、17年なんですが、確かに本町や梅田では、この広々としたスペースは無理ですね。

伊藤:今、取材させていただいている場所も、天井が高くてとても気持ちが良い空間です。
高坂さん:私もこの場所は好きで、原稿を書いたり、校正したり、集中する時に使ったりしています。

伊藤:ほんと、集中できそうです。では、さっそくいろいろお聞きしたいのですが、高坂さんは、お仕事はずっとミキハウスなんですよね。
高坂さん:そうですね。途中いろいろなことを経験しましたが、会社としてはミキハウスだけですね。

伊藤:どんなことがあったのでしょう? 入社当時は広報部ではなかったんですか?
高坂さん:入社してすぐは営業部門に配属されました。その中の卸部門で課長の下で専門店さん700店舗ほどへの、情報を発信する仕事をしていたんです。ニュースレターみたいなものも書いていましたね。そうするうち、人に伝える仕事がしたいと思って新卒採用の部署に異動願いをだしたんです。

伊藤:新卒採用ですか?
高坂さん:そうです。会社の魅力とか情報を伝えることがしたかったんです。人と接するのが好きということもありました。それに、私が採用された時の面接がとてもユニークだったんですね。それもあって採用活動にとても興味を持っていました。

伊藤:どんなことですか?
高坂さん:今もそうですが、ミキハウスのセミナーや面接には、「私服で来てください」って言われます。そして、面接で、その日の服装のポイントを話すんです。私は、当時お気に入りだった水色のミニスカートで面接に行きました。そして、今日のポイントは、って話し始めたら、机が高くて、スカートが見えなかったんですね。そうしたら、社長を含む面接官が、全員机の下からのぞき込むなんてことがあったりして(笑)。面接の後には社長との食事会があったんですが、お茶のお点前の時間があったりして。本当に個性的な面接でしたね。

伊藤:すごいですね。今じゃ、考えられないです。
高坂さん:そうですね。ただ、先輩から「仕事は2年はやらないと分からないよ」と言われて、それもそうだ、と営業部門での仕事をがんばりました。でも2年目の途中で採用の最終面接のお手伝いをさせてもらったりして「新卒採用って予想通りおもしろい」と思っていたら、翌年4月から新卒採用の部署に異動になりました。

伊藤:そこでは、どんな仕事をしていたんですか?
高坂さん:採用計画を立て、面接をしたり、ツールを作ったり、採用広告のコピーを書いたりですね。2年間、採用活動ピーク時はほぼ休みなく、東京と大阪を行ったり来たりして必死で仕事していました。とにかく採用氷河期でしたから、すごい応募数で。

伊藤:私もたぶん同じ頃に人事の仕事をしていたので、分かります。郵便番号の入力で、住所が自動入力されるのに感動していました。
高坂さん:あっ、分かります。

伊藤:新卒採用の仕事は長く続いたんですか?
高坂さん:いえ、けっこう早くに結婚をして、子供ができたので、その時に一旦、会社をやめたんです。26歳の時ですね。会社を辞めるときに家の事情もあって、バタバタとやめることになってしまって、まだ仕事をしたいのに、という気持ちのまま退職しました。でも、辞めるときに会社から「また戻ってくればいいよ」とは言ってもらっていたんです。

伊藤:育児休暇とかなかったんですか?
高坂さん:あの頃は、法律をうわまわるような社内規定はまだなかったです。

伊藤:確かに。私の先輩たちもみんな結婚か出産で辞めていた時代ですね。
高坂さん:そして、無事出産をして育児に入るんですが、子供は可愛い、育児は楽しいけれど悶々とする気持ちがあって、外に出たい気持ちがすごく強かったです。でも、預ける施設もなくて。

伊藤:そうですよね。今でこそ、「働くママを応援する」というワードがありますが当時はないですよね。何年前になりますか?
高坂さん:今、娘が16歳になりましたので、もう16年前ですね。

伊藤:1993年。確かに、まだそういう時代ではないですね。でも、再びミキハウスに戻ってくるということは何かがあったんですよね。
高坂さん:先輩で社長秘書をしている方が出産することになって、社長は、彼女のような優秀な人材には続けてほしいと思われたのだと思いますが、社内託児所を作ることになったんです。

伊藤:それが高坂さんにも働くチャンスを。
高坂さん:そうなんです。会社から電話がかかってきて、戻ってこないかと声をかけていただきました。

伊藤:それで戻ることに。
高坂さん:そうです。子供が2歳半の時です。でも、2年半のブランクがあるのでとても心配でしたが、以前と同じ新卒採用の部署に戻ることができました。ただ、無理をしてはいけないという上司からのアドバイスもあって、当時OG社員と呼んでいた時給制のアルバイト契約での復職になりました。

伊藤:それでも、仕事に戻ることができたのは嬉しかったんではないですか?
高坂さん:はい。社内託児所ですから子供も安心して預けられますし、仕事もできるということで嬉しかったですね。ただ、自分が忙しくなると子供はそれを感じとるようで、保育士さんから「最近、○○ちゃん、しんどそうだよ。お母さんが頑張っているのはわかるけど」という言葉をもらうこともありました。その時は、本当に自分も忙しいときで、分かっていたからこそ涙がでましたね。

伊藤:保育士さんは、ちゃんと見ていてくれているってことですね。
高坂さん:ほんとそうですね。そういう状況のなかで、実は10年間、このOG社員(アルバイト契約)で仕事を続けたんです。

伊藤:正社員にはならずに?
高坂さん:私たちの事例があって、OGの復職が始まって正社員で戻る人もいたんですが、私はアルバイト契約で続けていました。正直、正社員になりたいな、と思うこともあったんですが、働けるということへの感謝の気持ちが強かったですし、そのおかげで、いろんな働き方の人の気持ちが分かるようになりましたね。

伊藤:10年って長いですよね。
高坂さん:でも、今思うとあっという間です。先ほどの先輩が2人目を産む時は、私が何ヶ月かでしたけど、社長の秘書をやるということもしましたから。それが2000年。そのころ、インターネットが急速に使われるようになってWebの担当になったんです。

伊藤:Web担当ということは、ますます情報を発信する仕事ですね。で、今は、正社員だと思うのですが、正社員になるのはいつなんですか?
高坂さん:2005年ですね。この時に、正式に広報部に異動になりました。

伊藤:ここまでずいぶんいろんな経験をされて、そして、時代を作ってきたという感じですね。世代が近いからすごく分かるんですけど、女性が今のように働くようになったのってほんと最近の話ですよね。
高坂さん:ほんとそうだと思います。弊社でも私と同じようにがんばっている女性がいるからこそ、ようやく浸透し応援もしてもらえるようになってきたのだなと思います。

伊藤:ではここから、広報のお話を。今はどんなことを担当されているんですか?
高坂さん:引き続きWebと、取材対応、社内報に、スポーツ選手のマネジメントですね。

伊藤:すごくたくさんの仕事じゃないですか? 取材というのは、大阪で行うのですか?
高坂さん:どちらかというと大阪が多いですね。うちは、PR会社さんも使っていませんし、記者クラブさんも使っていないので、本当に地道にやっています。ですので、大阪版にしか掲載されない記事もありますね。内容によっては全国に出していくものもありますが。大阪まで取材に来てくださる方は、掲載するつもりで来てくださるので必ず記事にはなりますね。

伊藤:正直、ミキハウスの本社が、大阪の八尾にあるということは知らなかったんです。
高坂さん:確かに、そういうイメージではないですね。CMで、外人の子どもをモデルに使っているので海外のブランドだと思っている人もいるくらいですから。

伊藤:ブランディングが、すごくきちんとできているってことですね。
高坂さん:これは、約40年、社長はじめ先輩方や私たちが積み上げてきた歴史のおかげですね。

伊藤:以前、モデルのオーディションで東京に行くというお話をされていたことがありましたが……。
高坂さん:そうですね。モデルさんはWebでも使っているので、私が東京に行ってオーディションと撮影をしていますね。これは、年に3回くらいやっています。

伊藤:けっこう出張も多いのではないですか?
高坂さん:モデル関係では、東京に年3回×2(オーディションと撮影)で。それ以外には、社内報の取材のために、東京以外にも出張には行きますね。

伊藤:お忙しいですよね。それに、スポーツ選手のマネジメントというのもある。これはどういう内容になるんですか?
高坂さん:弊社に所属しているスポーツ選手が何名かいますから、取材依頼の受付と取材の立ち会い、彼らのスケジュール管理などですね。

伊藤:完全にマネージャー的な仕事ですね。
高坂さん:そうですね。テレビ局に行くと「マネージャーさ~ん」って呼ばれますよ。

伊藤:ほんとですか?
高坂さん:特に、オリンピックで活躍した選手などは、その後は、一日に10~20本の取材依頼の電話がかかってくることもあるので、その調整なども行っています。

伊藤:忙しそうです。
高坂さん:今日も、このあとフジテレビさんの取材があります。

伊藤:今、何名の選手の方がいるんですか?
高坂さん:7種目15名です。柔道、水泳、卓球、アーチェリー、テニス、馬場馬術、バトントワリングなどで活躍しています。

伊藤:これまで、取材させていただいた方のなかで、スポーツ選手のマネジメントをしている方は初めてです。
高坂さん:そうですか。特別なことはしていないんですよ。 ただ、こんなこともあります。元シンクロナイズドスイミング銅メダルの原田早穂が、「街道てくてく旅」という番組で半年間歩いたときは、大阪を歩くときは一緒に歩きましたね。そして、奈良にゴールするときは、何ができるだろうって考えて、大きな布にキャラクターをアップリケして文字を書いてもらって、それを奈良に行ける社員に持っていってもらって、ゴールで出迎えてもらいました。しっかりテレビに映りましたよ。本当に手作りですけれど、そういうこともやっています。

伊藤:おそらく、普通の会社なら、社長や取締役など会社の顔になる人として人物インタビューっていうのがあるのですが、その会社の顔になる人が多いってことですよね。
高坂さん:そうかもしれないですね。そして、それがスポーツという分野であるということが、ミキハウスの大きな特徴ですね。

伊藤:とにかく幅広いですね。社内報ではどんなことをされているんですか?
高坂さん:紙の社内報を作っていますが、新入社員に企画してもらうコーナーや、社内報の別冊では、「男子寮物語」といって男子寮のエピソードを披露するコーナーなども作って、楽しんでもらうようにしています。

伊藤:別冊まであるなんて、すごいですね。それだけで業務の大半が埋まってしまいそうです。
高坂さん:とにかく表現し発信する仕事が好きですから、がんばれるんでしょうね。

伊藤:では、ここでちょっとプライベートなことを。趣味は何ですか?
高坂さん:芝居を見るのが大好きですね。実は、中学生の時に演劇部で、舞台女優になりたいと思っていたんですよ。その後、高校で陸上部に所属してそれを忘れてしまっていた、というか、舞台女優のような夢は叶わないって思ってしまっていたみたいなんですが。たぶん自分とは別のものだと思ってしまったんですね。

伊藤:今からでも大丈夫じゃないですか?
高坂さん:いえいえ。でも、とにかくライブ感、演じている人の熱が伝わるものが好きで、娘と一緒に4年間「10000人の第九」というのにも出ました。

伊藤:さすが実行力もありますね。
高坂さん:好きなものだからでしょうね。楽しかったですよ。同僚とは来年行くお芝居の計画も着々と進めています。

伊藤:なんだか今日は、とてもゆったりしたところに来ましたが、とても強いエネルギーをいただいた気がします。ありがとうございました。


広報ウーマン24時
5:45 起床(朝ごはんの用意と娘のお弁当づくり、洗濯物干しなどしてから身支度)
8:30 自家用車で35キロの距離を運転して、会社へ。出社。
8:55 朝礼後、所属選手のテレビ取材対応のため、奈良県にあるアーチェリー場へ社用車で急行。
9:30 テレビ取材対応。練習風景と必要なカットの撮影、そしてインタビュー。選手の顔が見えるところにすわり、フォローする。ランチは選手と一緒に大学の部室でいただく。
15:30 本社に戻る。
15:30 社内報の取材。(3つのショップへの取材を電話で。各20分程度)
16:30 先ほどの取材内容を元に、社内報の原稿執筆。
17:30 海外サイトの修正を制作会社に指示。海外からの観光客向けサイトの掲載情報をまとめる。
18:00 社内報のレイアウトデザインの校正。退社。
19:00 知り合いのクリエイターの方と久しぶりにお会いして軽く食事。
20:30 帰宅。家族の夕飯づくり。
21:00 娘と一緒にテレビを見ながら、夫のシャツのアイロンかけ。そのほか、家事、片付け。
23:00 ブログ更新、入浴・読書。
24:00 就寝


編集後記
2回目の関西広報ウーマンミーティングを11月17日に開催しました。そこで、この機会に大阪の広報ウーマンにインタビューしようと考えました。そして、第1回の時にも来ていただいたミキハウス広報の高坂さんにお願いしたんです。 正直、八尾というところに本社があるのを知らなくて、ちょっとびっくりしましたが、本当に環境の良いところで気持ちが良かったです。高坂さんの働き方にもとても刺激を受けました。同じ会社で働いていたといっても、一度辞めてまた戻ってという働き方。そして、ママさん広報であるというところにも尊敬の気持ちです。私も頑張らなくちゃ!(ママじゃないけど)と思う取材でした。(伊藤緑)