元株式会社favy 加納美優子さん

元株式会社favy 加納美優子さん(2019年11月)

編集者から広報へのキャリアチェンジ。株式会社favyで年間400メディア露出の広報を経験し、新たな働き方へ移行中。

伊藤:本日は、お時間をいただきありがとうございます。先日、イベントでお会いして、ぜひお話を聞きたいと思っていました。今日はよろしくお願いします。2019年9月まで株式会社favyで広報をされていたとのことですが、広報歴は長いのでしょうか?
加納さん:大学を卒業してからfavyが4社目の会社です。最初はダイビング専門の出版社の編集部に入りました。在学中のアルバイトから含めて3年ほど働いたのち、マイナビで編集・ライターに転職。その後、Yahoo!グループのゲーム会社で広報の仕事にキャリアチェンジしました。ですので、広報としては2社、5年目になりました。favyには2年ほど在籍しました。

favyでの授賞式の様子

伊藤:編集者から広報になられたんですね。さっそくですが、favyでの広報について教えてください。半年の間に、『ガイアの夜明け』と『カンブリア宮殿』に出演したり、年間400メディアに露出したり、広報に関わる者としては気になることが多いのですが、その理由はなんですか?
加納さん:favyは、飲食店のマーケティング支援や、グルメメディア「favy」の運営、そして直営店を持つ会社です。”飲食店が簡単に潰れない世界を創る”というビジョンがあるため、新たなサービスを開始する際、飲食業界にとって本当に可能性のあるサービスかの実証実験の場として活用することができます。そのため、昨今問題になっているドタキャンの保証サービスや定額会員なども、実際に運営店舗に導入して検証できるので、話題性があると注目いただけていたのが大きいです。
そして、何よりスピード感ですね。7つあるfavyらしさの中に、「まずやってみる、スピードが質をうむ」を掲げているため、メンバーの動き出しやPDCAの早さはとにかくすごかったです。例えば、コーヒーの定額制を最初に導入したのはfavyですし、2018年の夏に某コンビニメーカーさんが100円ビールを始めるというニュースが出たのにも関わらず中止になってしまったときは、翌日から直営のコーヒースタンド『coffee mafia』で100円ビールの販売を開始しました。メンバーのアイディアを社長が素早くキャッチアップして、「やろう!」と言ってくださるんです。このスピード感もメディア露出の多さの理由のひとつかもしれません。

日経MJの1面にご紹介いただきました

伊藤:広報としては大変ですが、マスメディアからすると目が離せない会社ですね。何が起こるか分からない。
加納さん:そうですね。当初favyには、web媒体での書く力を鍛えなおそうと思い、グルメメディア「favy」の編集部に入社したんですが、入社2ヶ月後くらいに広報担当者が退職することを知り、このスピード感のある会社で広報がひとりになったら大変だと思ったんです。それで、広報への異動を希望しました。前の会社で広報に対してやり残したことがあると感じていたこともあり、広報をやりたい、と思いました。Favyでは自社のプロダクトのみならず、飲食業界や社会の動向もキャッチアップすることで、広報担当者としては多くのことを経験できました。ただ、favyから離れることを決めたのも、恵まれた環境が一因だったりします。多くのメディアさんに注目していただいていたので、攻める広報としてメディアアプローチをする時間を十分に確保できなくなってしまったこともあります。プロジェクトが8割くらい完成した状態で広報に情報が届き、そこから関わったり、急に翌日ローンチと決まり慌てて対応することもありました。それはそれでとてもやりがいがありますし、結果を出すために精一杯の広報活動をするのですが、年間400件の取材となると追われてしまう部分もあり、もっとひとつひとつのプロジェクトやコンテンツの、序盤から広報戦略を立てて関わっていきたいという願望が生まれたんです。広報としてもっとやれることがあった、と思うこともあって。我儘で贅沢なことなんですけれど。

favy広報チーム

伊藤:確かに、幸せな広報にも思えますが、どこまでが自分の力なのか試してみたくなりますね。
加納さん:そうなんです。そういうこともあって今は、サービスや企業のゼロから関わったり、経営戦略的な視点を持つ頼られる広報になりたい、と思っています。

伊藤:次の仕事にどんなことを選ばれるのか、気になります。では、これはみなさんが聞きたいことだと思うのですが、半年で『ガイアの夜明け』と『カンブリア宮殿』の取材をうけたときの状況や取材量を教えてください。
加納さん:favyは広報担当者が2人なので、『ガイアの夜明け』を上司が担当し、『カンブリア宮殿』を私が担当しました。というのも、取材時期が重なっていたんです。取材については、favyの場合『ガイアの夜明け』では、半年くらい密着いただきました。最初は1週間に一度の取材で、プロジェクトの立ち上げ会議や店舗取材など、放送前になるとほぼ毎日ご足労いただき、メンバーや店舗への密着もいただきました。取材の際には、制作会社の方やテレビ局の方に現場に足を運んでいただき、編集を加味した準備をしたり、撮り直しも入っていましたね。

伊藤:毎日は大変ですね。『ガイアの夜明け』と『カンブリア宮殿』に取材されたい企業は多いですが、企業側の協力がかなり必要ですね。
加納さん:そうですね。放送が近くなればほぼ毎日ですし、その間も新しいニュースを発信して、他の媒体の取材も受けます。密着取材の間には『WBS』からも取材いただきました。

伊藤:そうなんですね。都市伝説的に『ガイアの夜明け』に出たら『カンブリア宮殿』には出られないとか、密着が入るとWBSでは取り上げられないとか聞きますが、それは都市伝説なんですね。
加納さん:そんな都市伝説があるのですね!

伊藤:これだけ、マスメディアの方との関係ができているのは、favy以前広報経験がいきているんでしょうか?
加納さん:favyの前に広報をしていたのは、Yahoo!のグループ会社でGameBankというスマートフォン向けアプリを扱っていたゲーム会社です。ベンチャー企業だったので社員80名くらい、広報は私ひとりでした。そして、大手ゲームメーカー出身のゲームに対する熱い思いの社員が多い会社でした。

伊藤:ベンチャーだと広報がひとりということも多いですね。そして、ゲーム会社の広報は、メディア露出が難しいと感じているのですが、どうなのでしょうか?
加納さん:確かにベンチャーのゲーム会社だと、アプローチできるメディアが限られてくるので難しいかもしれません。マーケティングチームと密に連携をとって活動していましたが、ファミ通やニコ生、東京ゲームショウに自分が登壇するほど、身体をはった広報をしていました。実際に自社タイトルのキャラクターのコスプレをしたこともあります。MMORPGなどのコアゲームが多かったこともあり、今思うとfavyとは違い、全方位広報ではなかったですね。その分、どうやって知ってもらうかの工夫をしていました。ただ、ここでは会社が解散するため退職に至ったので、広報としてもっとできることがあったのではないか?力不足だったのではないか?とずっと思っていました。

伊藤:その終わり方はとても残念ですね。会社が終わるまでいらっしゃんですか?
加納さん:はい。最後までいました。タイトル終了の告知をしたり、運営していたゲームのうち1つは一部社員が作った会社が存続させたので、引き継ぎもしました。

伊藤:BtoCでありながら違う業界の広報を経験されているんですね。広報になられる前は、編集の仕事をされていたとのことですが、そのころのお話しを聞かせてください。
加納さん:最初の会社は、スキューバダイビング専門誌『DIVER(月刊ダイバー)』の出版社でした。国内・海外問わず、取材ブッキングをして、実際にカメラマンやモデルとともに現地で潜って、記事を作っていました。

Jellyfish Lakeでのスキンダイビング

ウエイクボード

船舶免許も持っています

伊藤:なぜ、ダイビング雑誌だったんですか?
加納さん:子供のころから水泳をやっていて、大学に入ったあとも近しいクラブに入りたかったのですが、大学の体育会水泳部は、オリンピックを目指すようなレベルだったんです。そこで、同じ水中つながりで探してダイビングサークルに入りました。学生の頃から書くことが好きだったので、書くこと×ダイビングということでたどり着いたのがダイビング雑誌の編集でした。しかし、志望していた出版社は新卒採用をしていなかったので、大学4年のときから編集部でアルバイトを始め、卒業と同時に入社させていただきました。だから、就活をしていないんです。

伊藤:そうなんですね。でも、会社の雰囲気が分かって入社するというのはお互い安心ですよね。今は、有給インターンといいう言葉があるくらいですから。では、『DIVER』から次の会社へ移った理由は?
加納さん:『DIVER』での仕事はとても楽しかったのですが、他ジャンルの記事も書けるようになりたい、Web媒体の経験をしたいと思い、マイナビという会社のウエディングWeb媒体に転職しました。結婚もしていないのにプロポーズのハウツーを書いたりしていました。ただ、紙媒体とWeb媒体の両方をやってみて、圧倒的に紙が好きだと気づきました。Web媒体は、公開後に修正ができてしまいますよね。一方紙媒体は、誤字脱字はもちろん、出力された色や文字のフォント数などにもこだわりが詰まっていて、出版に携わるすべての人の集大成感があって、今でも紙が大好きです。

伊藤:子供のころから書くことには興味があったんですか?
加納さん:子供のころは医療従事者になりたいと思っていました。ただ、20歳頃にインドネシアに行ったときにJICAの方にお会いして、「海外に住む気持ちはないの?日本語教師が向いてそう」って言われたんです。それで、海外で働く日本語教師に興味を持ちました。しかし海外の、特に東南アジアでの就職は賃金がとても安く、日本に戻って来られないと大学の担当教授から強く止められました。私自身はそれでも構わないと思っていたのですが、その年に東日本大震災があり、まずは日本で社会に出ようと考え直しました。

伊藤:いずれ海外に行くことも考えているんですか?
加納さん:はい。いずれ海外というのもありますが、今は国内で2拠点生活をしたいと思っています。東京生まれ東京育ちなので、東京以外に拠点を持ちたいですね。

伊藤:2拠点生活いいですね。今は働き方も変わってきていますし。ところで、広報にとって働き方改革で就業時間を限定されたりすることなどはどう思いますか?
加納さん:就業時間を決められて、時間外はPCにアクセスできないとか、そもそもデバイスの社外持ち出しができないとなると、ベンチャー広報としては難しいなと思います。大企業ですでにマスメディアとの関係性がしっかりできていて、ということであればありなのかもしれませんが、ベンチャーやこれから広報を頑張っていくという企業ですと、メディアさんから依頼をいただいた際にとにかく早く回答することができなくなってしまうので厳しいですね。メディアの方によっては時間も休日も関係ない場合もありますから。favyは飲食系の会社なので、外食することも情報収集だったりと、無意識化での仕事が多かった気がします。休みの日でも、スマフォに記者の方の名前が表示されると、オンオフが「わっ」っと切りかわって。私はそのスイッチが切り替わる瞬間が好きなタイプなので、天職だなとも思っています。

富士登山にも挑戦

伊藤:では、最後に趣味について教えてください。
加納さん:今でもダイビングにはいきますね。そして、最近は山に登ったりキャンプをしたりと、陸のアクティビティもするようになりました。あとは、お酒が好きです。先日も友人に北陸に連れて行っていただいてグルメを堪能するなど、美味しいお酒を飲むのは大好きで。

伊藤:海に山にお酒。素敵ですね。酒蔵さんのPRもできそうですね。
加納さん:あっ、そうですね。地方の酒蔵さんのPRもぜひやってみたいですね。

伊藤:加納さんにPRしてもらえたら力強い! 地域のまだ世の中に知られていない素敵なお酒を世の中に伝えてください。本日はありがとうございました。

お酒